近年、国際的には、死刑確定者の家族、特に子供の人権、そして福祉の問題が非常に大きなトピックになってきています。
CrimeInfoでもここ数年、死刑確定者とその家族について、以下のような取り組みをしてきました。
死刑確定者の家族へのインタビュー
2023年から2024年にかけて複数の死刑確定者の家族にインタビューを行い、インタビュー調査からの抜粋「死刑確定者の家族について考えたことはありますか?」を作成しました。
実際のインタビューから浮かび上がってきた死刑確定者家族の生の声、実体験をご紹介しています。
日本弁護士連合会 死刑確定者の処遇状況に関するアンケート
全国の死刑確定者に対する処遇全般に関して、人権擁護委員会が死刑確定者に対してアンケート調査を行っています。
第3回は2020年12月~2021年2月に実施され、CrimeInfoがデータの共同利用者ということで分析に関わることになりました。
このアンケート調査が1回目・2回目と大きく違うところは、特に死刑確定者がその家族とのつながりをどのように保っているのか、あるいは、保てなくなっているのかということに着目して、面会や手紙のやり取りなどに重点がおかれています。
第3回 死刑確定者の処遇状況に関するアンケート(2020年実施) 質問項目 概要 回答結果
CrimeInfo論文&エッセイ集13. 「孤立の中で死を待つ人々:死刑確定者へのアンケート調査結果 から見えてくる日本の死刑制度」(佐藤舞)
上述の日本弁護士連合会による「第3回 死刑確定者の処遇状況に関するアンケート」の結果を解析して書かれたのが、
CrimeInfo論文&エッセイ集13. 「孤立の中で死を待つ人々:死刑確定者へのアンケート調査結果 から見えてくる日本の死刑制度」(佐藤舞)
です。長期間にわたって単独室で収容されている死刑確定者が経験する喪失を5つの類型で論じ、そのうちの1つである「繋がりの喪失」が、施設の規則とその運用に大きく影響されていることが解析されています。
「拘禁された親を持つ子ども – 国際基準とガイドライン 2020年3月」
クエーカー国連事務所(QUNO)の作成による「拘禁された親を持つ子ども – 国際基準とガイドライン(原題:Children of Incarcerated Parents: International Standards and Guidelines)」の全文を、CrimeInfoで翻訳しました。
刑事司法の過程で、親や養育者が拘禁されてしまう子どもたちの権利・利益をいかにして守るべきか。日本では議論も取組もまだ足りないこの分野に、必要不可欠な指針を与えてくれます。刑事司法関係者や子どもの福祉に携わる人々はもちろん、多くの市民に手に取って読んで頂きたい貴重なガイドラインになっています。死刑を科され、あるいは執行された親を持つ子どもへの特別な着目も含まれています。
原文:QUNO (Quaker United Nations Office) 「Children of Incarcerated Parents: International Standards and Guidelines」
日本語訳:「拘禁された親を持つ子ども – 国際基準とガイドライン」
セミナー動画「被拘禁者を親に持つ子どもたち」矢野恵美さん
被拘禁者を親にもつ子どもたちは、自分ではどうすることもできない事情によって、過酷な運命を強いられています。国際社会では、こうした子どもたちへのケアやサポートの必要性が重視されつつありますが、日本での取組みは進んでいません。
そこで、CrimeInfo世界人権デー企画として、2021年12月10日に、刑事法、被害者学、ジェンダー法、北欧法を専門とされている矢野恵美さん(琉球大学法科大学院教授)にご講演いただきました。
国連子どもの権利委員会委員長の大谷美紀子さん(弁護士)が当企画に向けてお寄せくださったビデオメッセージもあります。