平成27年1月27日(火)法務大臣閣議後記者会見の概要
死刑制度に関する質疑について
【記者】
内閣府が24日に公表した基本的法制度に関する世論調査で,死刑制度に関し,「死刑もやむを得ない」という方が80.3パーセント,「死刑は廃止すべき」という方が9.7パーセントという結果が出ました。この数字に対する上川大臣の受け止めをお願いいたします。
【大臣】
今回,死刑制度の存廃に関する調査結果ということで発表されたところでございますが,御指摘のとおり死刑制度に関してましては,「死刑は廃止すべき」とする意見が9.7パーセント,「死刑もやむを得ない」とする意見が80.3パーセントでございました。死刑の全面的廃止を求める意見は少数である一方,多くの国民の皆様が死刑の存置もやむを得ないと考えているという基本的な動向に大きな変化はなかったというふうに考えておりまして,現行制度につきましては肯定的な結果が示されているものと考えております。
【記者】
この関連で,改めての質問になるのですけれども,上川大臣は法務大臣の職責としての死刑執行命令に今後どのように臨んでいかれるかということと,併せて,現行の死刑制度の見直しの必要性や,仮釈放のない終身刑の導入の是非について,どのように考えておられるのかお聞かせください。
【大臣】
死刑という刑罰は,人の命を絶つという大変重大な刑罰であるということでございます。その執行に際しましては,慎重にも慎重の上で臨む必要があると考えております。同時に,法治国家ですので,確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないということにつきましても,これも言うまでもないと思っております。
死刑の判決ですが,極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対しまして,裁判所が慎重にも慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでありまして,法務大臣といたしましても,この裁判所の判断を尊重しながら,法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきものと考えているところです。
個人としては様々な御意見があろうかということで,過去の法務大臣もそのような中で,法務大臣としての職務を果たしてこられたというふうに考えておりますけれども,私といたしましても,死刑につきましては,法が,法務大臣の命令によって執行することとされているということの重みを十分に認識しながら,慎重かつ厳正に対応していく所存でございます。就任会見におきまして申し上げましたとおり,鏡を磨いていくというような澄んだ心で向き合っていきたいと考えております。
死刑制度の見直しに関する御質問につきましては,今回の世論調査でも明らかになりましたけれども,多数の国民の皆様が,極めて悪質・重大な犯罪については死刑もやむを得ないというふうに考えていること,また,凶悪犯罪がいまだ後を絶たないという状況等を鑑みまして,直ちにこのことについて見直すということにはならないと考えております。
また,仮釈放の可能性がない,いわゆる終身刑につきましての御質問もございましたけれども,社会復帰の望みがなく生涯拘禁されるという,受刑者に絶望感を抱かせる大変過酷な刑罰であるなどの様々な御意見や御懸念ということについて御指摘もございます。
いずれも刑罰の在り方の根幹に関わることでございますので,今後,国民の皆様の間で幅広い御議論が行われていくことが望ましいというふうに考えております。
【記者】
関連でお伺いします。国際的には死刑を廃止していく国も増えていて,日本の死刑制度に対する批判というのもあるわけですけれども,この点について大臣はどのようにお受け止めでしょうか。
【大臣】
この問題につきましては,御指摘のとおり国際社会の中で様々な御意見があり,また,日本に対しての要請もあるということは十分に承知しているところでございます。ただ,大事なことは,こうした刑罰の基本に関わること,根幹に関わることについては,国民の皆様がそれぞれの立場でいろいろな御意見をお持ちというふうに思っておりますが,飽くまで国の在り方に関わることでありまして,自らの問題という形で考えていくべき課題であるというふうに思っております。