令和6年9月27日(金)袴田事件再審公判の判決結果に関する質疑について

令和6年9月27日(金)法務大臣閣議後記者会見の概要

袴田事件再審公判の判決結果に関する質疑について

【記者】
 昨日9月26日、静岡地裁が、袴田巖さんの再審公判で無罪判決を言い渡しました。判決への大臣の所感をお願いします。
 また、袴田さんの再審開始決定は事件が発生した1966年から47年後の2014年、さらに再審が確定したのはそれから9年後の昨年3月、判決が昨日でした。このように極めて長い期間がかかることを問題視して、日弁連は再審制度について、証拠開示や検察官による不服申立て禁止、再審請求審の手続き整備を訴えています。大臣も今年6月、国会議員の議連から要望書を受け取りました。大臣は今、再審に関する法改正の必要について、どのように考えているか、改正を進めるようなお考えがあるのか、お聞かせください。

【大臣】
 御指摘の事件について、静岡地方裁判所は、昨日、袴田氏に対し、無罪の判決を言い渡したものと承知しております。
 判決については、事務方から報告を受け、判決の要旨にも目を通しております。
 個別事件における裁判所の判断については、法務大臣として所感を述べることは差し控えたいと思いますが、再審制度の在り方については、法改正の必要性も含めて、様々な御議論があるということはよく承知しております。
 その上で、再審制度の在り方は、確定判決による法的安定性の要請と、個々の事件における是正の必要性との調和点をどこに求めるか、換言すれば、様々な手続保障と三審制の下で審理が尽くされ確定した有罪判決を、非常救済措置として覆すための要件・手続を、いかに設定すべきか、ということに関わる問題であり、様々な観点から慎重かつ丁寧に検討すべきものであると考えています。その観点に立って、法務省においては、現在、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しており、この会議が進行中です。
 その中で、再審請求審における証拠開示等、今御指摘がありました問題点を含め、協議がまさに行われているところです。一巡目の課題の抽出が終わり、二巡目に入っていこうとするところです。
 法務省としては、この協議会において、是非とも充実した議論が行われるように、力を尽くしていきたいというふうに思っております。

【記者】
 判決の関連でお伺いします。
 昨日の判決は、死刑の執行であったり、死刑制度の存廃に対して影響がありますでしょうか。考えを教えてください。

【大臣】
 昨日の判決を踏まえてというお尋ねですが、これは個別具体的な事件における、いまだ確定していない裁判所の判断を前提とするお尋ねですので、この時点で私からお答えすることは差し控えたいと思います。御理解いただきたいと思います。

【記者】
 今の死刑制度についての関連なんですけれども、昨日ああいった判決が出て、改めてですね、政府として死刑制度に対しての立場と、そういう立場を取っている具体的な理由に関して教えてください。

【大臣】
 これまでの死刑制度の在り方についての政府の立場というのは、これまでも何度か御説明したとおりです。昨日の時点と捉えていただいていますが、昨日の時点のこの判決というのは、個別事案におけるまだ確定していない判決であり、それを踏まえて死刑制度がどうだということについては、まだ私から申し上げる状況にない、そういうことを御理解いただきたいと思います。

【記者】
 これまでも説明してきたとおりだというお答えなんですけれども、改めていただけませんでしょうか。

【大臣】
 死刑制度の在り方は、刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題であるということが1点。そして、国民世論、これにも十分配慮する必要がある。社会における正義の実現と種々の観点から、慎重に丁寧に検討すべき問題だというふうに思います。
 世論調査によれば、国民の多数が、極めて悪質・凶悪な犯罪については死刑をやむを得ないという考えを持っておられ、一方で、多数の者に対する殺人や強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たないという状況等に鑑みますと、著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科すこともやむを得ないのであり、死刑を廃止するということは、現時点では適当ではないというふうに考えております。