令和6年12月10日(火)「特別報告者」による死刑制度関係の共同書簡に関する質疑について

令和6年12月10日(火)法務大臣閣議後記者会見の概要

「特別報告者」による死刑制度関係の共同書簡に関する質疑について

【記者】
 日本の死刑制度が国際法に違反する疑いがあるとして、国連の人権理事会に任命された「特別報告者」が政府に対して、執行方法の見直し、それから執行停止の検討を求める通報を行いました。改めて制度に対する政府の立場を伺います。

【大臣】
 御指摘の、国連人権理事会から任命された特別報告者が、本年9月、日本政府に送付した死刑制度に係る共同書簡において、我が国の死刑の執行方法に懸念を示し、死刑の執行停止の検討を求めたということを承知しています。
 ただ、この特別報告者については、個人の資格で人権状況の調査・報告を行う独立した立場ということで、その見解は、国連や、あるいはその機関である人権理事会としてのものではないということです。また、我が国に対しての法的拘束力を有するものではありません。
 その上で、我が国としては、本年11月、ジュネーブ国際機関日本政府代表部を通じて、特別報告者に対し、我が国の死刑制度に関する追加情報を提供するとともに、我が国の見解を伝えたところです。
 その上で、執行方法について申し上げますと、刑法において、「絞首して執行する」と定められています。最高裁判決では、「現在わが国の採用している絞首方法が他の方法に比して特に人道上残虐であるとする理由は認められない。」と判示しているところであり、法務省としても同様に考えています。
 また、死刑の執行を一時的に停止するということについては、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えているということ、そして死刑の執行が停止された後にこれが再開された場合、死刑確定者に死刑が執行されないという期待をいったん持たせながらこれを覆すことになり、かえって非人道的な結果にもなりかねないということから、当方としても妥当ではないと考えています。