ここでは、被留置者の処遇に関する資料を掲載します。行政文書開示請求により得られた文書、国会議員が請求して得られた資料のほか、内閣府令や国家公安委員会規則、警察庁の通達などへのリンクも掲載します。 更新 2024.3.26
刑事弁護オアシスにて当ページが紹介されました。「Crimeinfoが、ウェブサイト内に「被留置者の処遇」資料を掲載するページを開設」
CrimeInfo代表 田鎖が、当ページ開設の意義と今後の計画などについてコメントしています。
留置管理業務推進要領:
2022年12月に岡崎警察署の留置場の保護室で収容されていた男性が死亡した事件を受け、2023年12月に「留置管理業務推進要領」が改正されました。同月、CrimeInfoでは、警察庁に対して、改正後と改正前の「留置管理業務推進要領」を開示請求し、以下の文書を入手しました。- 「留置管理業務推進要領」の一部改正について(通達)(令和5年12月1日付け警察庁丙総発第18号、丙人発第192号)
飲食物を摂取しない被留置者や医療を必要とする被留置者に対する対応が追加され、自殺の怖れ等や問題のある被留置者への対応がより細かく定められました。さらに、戒具の使用や保護室への収容について、これまで明確ではなかった使用の手順や使用中止の手順、使用期間、使用期間の更新の手順、食事や用便における対応などが明記されています。 今回の改正で追加された箇所、または、拡充されている箇所をわかりやすくしたPDFはこちら。 - 「留置管理業務推進要領」1頁の第1の2「留置施設に設けるべき施設は、別に定める基準」
「留置施設の設計基準」の改正について(通達)(令和2年6月30日付け警察庁丁総発第122号) - 同2頁イ(イ)に記載の「別に定める教養」
留置管理業務補勤者等教養の実施要領について(通達)(令和3年3月15日付け警察庁丁総発第28号、丁人発第121号)
留置担当官任用教養実施要領の制定について(通達)(平成31年3月28日付け警察庁丁総発第217号、丁人発第163号) - 「留置管理業務推進要領」の一部改正について(通達)(令和4年4月27日付け警察庁丙総発第35号、丙人発第41号)
令和5年12月1日付けの改正を以て廃止。
- さらに、上記文書中、「別に定める」と記載されている以下の箇所につき、該当する文書を開示請求し、2024年3月、以下の文書を入手しました。
戒具に関する資料
- 「戒具」の写真 (2023年4月26日警察庁レク資料)
2023年4月と6月に、福島みずほ参議院議員の資料請求に対し、警察庁は、被留置者の死亡者数と死亡原因、留置施設内の規律・秩序を侵害する者へ対処する際に使用される「戒具」の写真を回答しました(福島みずほ議員のブログにも掲載されています)。
被留置者の処遇に関する規則・通達
被留置者の処遇に関しては、以下のような規則が定められており、警察庁の通達は、概要または全文が以下のサイトで公開されています。
留置施設における戒具の使用に関する規定
留置施設における戒具の使用については、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 213条に、以下の規定があります。(捕縄、手錠、拘束衣及び防声具の使用)
第二百十三条 留置担当官は、被留置者を護送する場合又は被留置者が次の各号のいずれかの行為をするおそれがある場合には、内閣府令で定めるところにより、捕縄又は手錠を使用することができる。
一 逃走すること。
二 自身を傷つけ、又は他人に危害を加えること。
三 留置施設の設備、器具その他の物を損壊すること。2 留置担当官は、被留置者が自身を傷つけるおそれがある場合において、他にこれを防止する手段がないときは、留置業務管理者の命令により、拘束衣を使用することができる。ただし、捕縄、手錠又は防声具と同時に使用することはできない。
3 保護室が設置されていない留置施設においては、留置担当官は、被留置者が留置担当官の制止に従わず大声を発し続けて、留置施設内の平穏な生活を乱す場合において、他にこれを抑止する手段がないときは、留置業務管理者の命令により、防声具を使用することができる。この場合において、その被留置者が防声具を取り外し、又は損壊することを防ぐため必要があるときは、その使用と同時に捕縄又は手錠を使用することができる。
4 前二項に規定する場合において、留置業務管理者の命令を待ついとまがないときは、留置担当官は、その命令を待たないで、拘束衣又は防声具(前項後段の規定により使用する捕縄又は手錠を含む。)を使用することができる。この場合には、速やかに、その旨を留置業務管理者に報告しなければならない。
5 拘束衣及び防声具の使用の期間は、三時間とする。ただし、拘束衣の使用については、留置業務管理者は、特に継続の必要があると認めるときは、通じて十二時間を超えない範囲内で、三時間ごとにその期間を更新することができる。
6 留置業務管理者は、前項の期間中であっても、拘束衣又は防声具の使用の必要がなくなったときは、直ちにその使用を中止させなければならない。
7 被留置者に拘束衣若しくは防声具を使用し、又は拘束衣の使用の期間を更新した場合には、留置業務管理者は、速やかに、その被留置者の健康状態について、当該留置業務管理者が委嘱する医師の意見を聴かなければならない。
8 捕縄、手錠、拘束衣及び防声具の制式は、内閣府令で定める。
同条の委任を受けた「内閣府令」は、国家公安委員会関係刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律施行規則 22条、23条、別表となっています。
(捕縄又は手錠の使用)
第二十二条 被留置者が法第二百十三条第一項各号のいずれかの行為をするおそれがある場合に使用することができる捕縄又は手錠は別表に定める捕縄又は標準手錠若しくはベルト手錠とし、被留置者を護送する場合(被留置者が同項各号のいずれかの行為をするおそれがあるときを除く。)に使用することができる捕縄又は手錠は別表に定める捕縄又は標準手錠とする。
2 法第十六条第二項に規定する留置担当官は、法第二百十三条第一項の規定により捕縄又は手錠を使用したとき(被留置者を護送する場合に捕縄又は手錠を使用したときを除く。)は、速やかに、その旨を留置業務管理者に報告するものとする。
(捕縄、手錠、拘束衣及び防声具の制式)
第二十三条 法第二百十三条第八項に規定する捕縄、手錠、拘束衣及び防声具の制式は、別表のとおりとする。
別表(第二十三条関係)
種類 制式 捕縄 太さ直径三ミリメートル以上の適宜の長さの縄状のものとする。 手錠 標準手錠 鎖で連結された左右二つの輪のそれぞれが開閉でき、かつ、歯止めで止まり、鍵が掛かるものとし、形状は図一のとおりとする。 ベルト手錠 適宜な幅の腰ベルトの左右に手首を固定するため伸縮できる輪を設け、後部において止めるものとし、形状は図二のとおりとする。 拘束衣 頸部以下の身体を包み、適宜の通気孔を設けた袋状のもので、内部に上腕部、前腕部、大腿部及び下腿部を固定し、保護するための適当な大きさのベルトを備えたものとし、形状は図三のとおりとする。 防声具 口及び上下のあごを完全にふさぐ大きさの半截楕(セツダ)円形のマスク(適宜の通気孔を設け、口部を固定させる装置を備えたものに限る。)と頭部を保護する装置を組み合わせたものとし、形状は図四のとおりとする。 図一 標準手錠
図二 ベルト手錠
図三 拘束衣
図四 防声具